【SDGsと私】美と健康の分野で新しい未来を作り続ける「桃谷順天館」

桃谷順天館

あなたはSDGsについてどのくらい知っていますか?

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
持続可能な社会を目指すために、国連サミットで採択されました。17の目標と169のターゲットで構成されています。
開発目標の期間は2016年から2030年までの15年間。まさに次世代を担う私たちにとっては、切っても切れない関係にあります。

今回は、老舗化粧品メーカーの桃谷順天館さん で働いている方々にお話を聞きました!
関根 大輝さん:研究職(ケアナボーテの開発)/中央研究所勤務
中田 千尋さん:企業広報
伊藤 佐知子さん:商品広報

会社紹介

創業1885年 歴史ある老舗化粧品メーカー
創業のきっかけになった「にきびとり美顔水」は現在も販売され続けている。

現在はグループ化されており、グループ全体で日本国内のみならず海外でも商品やサービスの提供を行っている。歴史の長さに裏付けられた技術で、美と健康分野で新たな時代を切り開いている。

桃谷順天館のホームページはこちら

桃谷順天館について

ー 創業1885年と伺いましたが、創業のきっかけを教えてください。

 創業者 桃谷政次郎が、「にきびとり美顔水」を創ったことが始まりです。「にきびとり美顔水」は現在も「明色美顔水 薬用化粧水」として販売されています。

「にきびとり美顔水」ができるまで

 桃谷政次郎は和歌山県粉河の薬種商(薬屋)「正木屋」に生まれました。「人の悩みを解決したい」という強い信念のもと勉学に励み、和歌山県初の薬剤師の資格を取得しました。この頃に『天に順(したが)うことはつまり人々に奉仕することになる』といった『順天の教え』を受け、この教えが政次郎の生涯の指針となりました。

 「正木屋」の11代目になった政次郎は、東京帝国大学(現:東京大学)の医学の権威である櫻井郁二郎先生に懇願し、創薬を学びました。当時はまだ交通の便が整っておらず、東京に行くことは命懸けでした。ちょうどこの頃、政次郎の妻は頬のニキビに悩んでいたそうです。先生の元で新たな売薬を創製すると同時に、妻のためのニキビ薬も創りました。 そして、この薬によって妻のニキビが治り、薬を知った人々から「私も欲しい!」とたくさんの声が上がったのです。当初販売予定はありませんでしたが、多くの人の役に立つならばと考え、政次郎は「にきびとり美顔水」として販売することに決めました。

 

ー 「にきびとり美顔水」はこんなに歴史が長かったのですね…!
 現在は、どのような事業を行っているのでしょうか?

 今は桃谷順天館が母体で、グループ経営を行っています。桃谷順天館には、研究開発部門や、岡山県和気郡の製造工場などが属しています。そして、お客様に美と健康を届けるために、化粧品にとどまることなく様々な商品やサービスを展開しています。

グループ会社

  • 株式会社 明色化粧品(化粧品等の企画・製造・販売)
  • 株式会社 コスメテックジャパン(化粧品、健康食品のOEM[1]/ODM[2]事業)
  • 上海桃谷顺天馆化妆品商贸有限公司(化粧品等の輸出入・販売/化粧品事業コンサルティング/行政登記申請代行)
  • 桃井商事株式会社(船場ビルディング)

言葉の補足説明
[1] OEM:OEMとは”Original Equipment Manufacturer”の略語であり、工場を持たないメーカーに代わって製造を行う事業を意味する。

[2] ODM:ODMとは、”Original Design Manufacturer”の略語であり、企画提案から処方開発、製造・生産に至るまでトータルサポートするメーカーを意味する。

研究開発について

中央研究所に勤務されている関根さんが関わっているケアナボーテとはどのような商品ですか?

 ケアナボーテHPはこちら

 日本では、肌悩みランキングの上位に「毛穴悩み」が入っています。ただ毛穴悩みと言っても、黒ずみ、毛穴詰まり、皮脂の分泌…とたくさんあります。それぞれに異なる原因がありますが、これらの毛穴悩み全般を解決できるアイテムとして、「ケアナボーテ」を開発しています。

 現在、4つの商品がありますが、それぞれ異なったアプローチ方法でお客さまの毛穴悩みを解決に導いていきます。

開発の過程など、具体的にはどのように研究を進められていますか?

 化粧品は原料の組み合わせなので、まずは原料の特徴を理解し、その上でお悩みに対する効果的な組み合わせを考えます。

 当社には、基礎研究や肌のメカニズムの研究を行うフロンティア研究所があります。そこで得られた知見や、日々論文などから得られた情報を蓄積しながら製剤化(化粧品の形に落とし込むこと)を行うのが、私のいる中央研究所の仕事です。悩みに対する有効成分だけではなく、使い心地や安全性にも考慮しながら処方開発しています。

研究所について

 桃谷順天館には、5つの研究所があります。
 基礎研究、処方開発研究、製造技術研究、グローバル化粧品の研究、産学連携の共同研究など、研究所によって様々な研究が行われています。

 

桃谷順天館
研究所の様子

ー 研究において大切にしていることはありますか?

 近年、国内だけでなく、海外から多くの商品が入ってきており、市場には多種多様な商品が出回っています。お客さまは、その中から自分に合ったものを選択しています。また、SNSの浸透により流行の移り変わりも激しいです。

 そのような市場において、私達の仕事は処方を開発して終わりでは意味がなく、お客さまが手に取ってくれて初めて、研究開発した価値が発揮されます。たくさんの商品の中から私達の商品を選んでもらうためには、企画コンセプト、処方技術、広告などの魅せ方を組み合わせる必要があります。 

 どのようなものであればお客さまに届くかを第一に、日々研究をしています。

ー そういったお客さまのニーズは、どのように情報収集されているのですか? 

 ドラッグストアなどの売り場に足を運び、どんな商品が並んでいるのか、その商品はどのような訴求をしているのかなどを確認しに行きます。研究職という立場上、お客さまの声を直接聴く機会は少ないため、営業や企画の方から現場の声を教えていただき、日々処方開発に活かしています。

ー 研究をする上での苦労や壁などを教えてください。

 やはり、時代の流れを読み取ることは難しいですね。どうやってお客さまに手に取ってもらうかということは、化粧品業界では特に課題になっていると思います。ドラッグストアには韓国化粧品がたくさん並んでいるので、どのように差別化していくかが大切になります。

これからの目標

ー これからどんな研究や製品開発をしたいか、具体的にありましたら教えてください。

 人それぞれ趣味嗜好があるので、全てのお客さまの悩みに答える化粧品を作ることは難しいです。なので、今後はお客さまのニーズに合わせた商品を、バリエーション豊富に取り揃えていくことが1つの目標です。

 今携わっているケアナボーテは、ハラール認証・ヴィーガン認証を取得しているので、これまで私達が商品をお届けできなかった方にとっても選択肢の1つになり得る化粧品となっています。

桃谷順天館
ヴィーガン・ハラール認定処方/動物性原料不使用・動物実験不実施
ヴィーガン認証・ハラール認証

ヴィーガン認証:商品に動物由来の成分および副産物を含まないこと。製造工程でも動物由来の成分や副産物を使用せず、動物実験が行われていないことが求められる。

ハラール認証:豚やアルコールなどの禁止成分は一切含まれておらず、製造環境もイスラム法の基準に則っていることを確認されているもの。ハラル認証機関が、検査をして保証している。

ー 続いて、会社全体では、具体的にどのような未来を目指しているのでしょうか。

 昨年、「人と地球の美しい未来を作る」というPurposeを設定しました。

 モノづくりをするうえでは、自然環境にお世話になっています。化粧品開発は、特に多くの水を使いますし、汚水・廃棄物が出ることがありますので、地球と共存していく必要があると考えています。

 また、お客さまの生活を彩るような体験を提供したいと思っています。肌が綺麗になることで、気持ちまで潤い、心が豊かになることがあります。お客さまにとってワクワクする商品や、感動していただけるサービスを提供することを目指しています。今は多様性を大事にする社会になりましたので、美を提供するメーカーとして、「美しさ」はひと通りではないということを伝えたいです。

次回予告!

 今回は、桃谷順天館さんに研究開発を中心に伺いました。次回は、SDGsについてお話をお聞きしたいと思います!

 化学は、地球環境問題にとって良くないイメージを持たれることが多いです。化学的な研究を行いながら、製品開発をする桃谷順天館さんはどのようなことに取り組まれているのでしょうか。
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