あなたはSDGsについてどのくらい知っていますか?
会社紹介
創業1885年 歴史ある老舗化粧品メーカー
創業のきっかけになった「美顔水」は現在も販売され続けている。
現在は、グループ化して、日本国内のみならず海外でも商品やサービスの提供をしている。歴史の長さに裏付けられた技術で、美と健康分野で新たな時代を切り開いている。
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SDGsと私
ー 近年、SDGsが普及していますが、この現状に対して個人的に考えていることを教えてください。
環境問題のみならず幅広い分野の問題に対して、世界共通の目標を制定し、そこに向かって少しずつでも皆で行動できていることはとても良いことだと感じています。各企業の取り組みも広がっているので、引き続き諦めずに根気強く取り組んでいけたらと思います。(中田さん)
日本ではSDGsが充分広まっていないと思います。未来を生きる子供たちのためにも、僕らができることをやるべきだと思います。僕が今できることは化粧品開発なので、SDGsも意識して商品開発を進めたいです。そして、SDGsへの取り組みがもっと日本人に広まってほしいと思っています。(関根さん)
先日、全国の女性722名(20代~30代 240名ずつ、40代242名)に「化粧品を選ぶときに““エコ”“サスティナブル”を意識しますか?」というインターネット調査を実施しました。「かなり意識している」「まあまあ意識している」が約20%で、「全く意識していない」「ほとんど意識していない」は約60%という結果になりました。
現状、消費者が化粧品を選ぶ際の判断基準としてエコやサスティナブルはそれほど高くないと言えるかと思います。一方、これらが判断基準の上位にあがる業界もありますので、この意識が広く浸透する日はすぐそこに来ていると感じています。私たちができることとして、化粧品の分野から“エコ”“サスティナブル”の意識を強化することで自然共生を実現し、人と地球のための美しい未来創りに貢献していきたいと考えています。(伊藤さん)
ー 桃谷順天館さんの社内では、SDGs専門の部署などはありますか?
専門の部署は特に設けていません。弊社が掲げているクリーンビューティー宣言に則って、各社各部署で取り組んでいます。
ー 社員さんひとりひとりの意識が高いのですね!
具体的なお話になりますが、岡山工場で3Rを実現したことについて、詳しくお話を伺いたいです。
生産拠点である岡山工場では、約10年前から3R活動に積極的に取り組み、2020年時点で工場から出る廃棄物や汚泥等、ほぼ100%3R(排出抑制、再使用、再生利用)を実現しました。
岡山工場でのこの活動は、今の工場長が当時1人で始めたそうです。例えば、空き瓶を分別し廃棄することをひとつとっても想像以上に大変で、当初は理解されないことも多かったそうです。環境への配慮がいかに大切かを皆に根気強く呼びかけ、今では工場全体で積極的に取り組んでいます。
そして、工場から出る産業廃棄物を100%排出抑制、再使用、再生利用させることに成功しました。具体的には、ほんの一例ですが、汚泥を工場内で堆肥に生まれ変わらせて、工場でラベンダーを育ててポプリにしたり、瓶を回収してもう1度生まれ変わらせたりしています。
ー 100%を達成したと伺い、非常に驚きました。それでも、続けることは大変ですよね…
そうですね、1年ぐらい前までは98%達成で、残りの2%はサーマルリサイクルの過程で生まれる灰でした。色々な会社を探して、コンクリート燃料に活用することができました。また、サーマルリサイクルで発生する熱も、電気に変えています。
ー 働き方改革に対する取り組みについても教えてください。
桃谷順天館では、
- テレワーク
- フレックスタイム
- 時間単位有給休暇
- エフ(生理・PMS)休暇
- ライフサポート(不妊治療、病気治療・療養等)休暇
- 時短勤務者の給与控除撤廃
などに取り組んでいます。
午前10時~午後3時までのコアタイム以外は、勤務時間を自由にコントロールすることが可能です。月の勤務時間を満たす必要はありますが、朝早く出勤した日は早く帰る等、各々が働きやすい時間帯に効率的に働くことが可能です。
以前まで、有給は1日か半日単位でしか取れなかったので、「2時間だけ休めれば子供の用事を済ませることができて、残りの時間は仕事ができるのに…」等といった声がありました。そこで1時間単位の有給を導入し、効率的に休みを取れるようにしました。
元々あった「生理休暇」の適用範囲を、生理だけでなく生理前の症状PMS(生理前に気分が落ち込んだり、体調が悪くなったりすること)まで広げました。同時に、「生理休暇」という直接的な制度名を社員から募集した名称「エフ休暇」へ変更することにより、上司への申請時の心理的負担も軽減され、取得しやすくなりました。導入前の1年と比較し、約2倍の方が活用するようになりました。
不妊治療をされる方や、特定の病気に関して、通院や療養が必要な際に取得可能な休暇です。ライフステージが変わったときに、仕事を辞めずにプライベートと両立しながら働けるように制度を整えています。
私たちは働く「時間」ではなく「成果」で評価しているため、働く時間が短いからと言って給与をカットすることはしていません。
学生に伝えたいこと
ー SDGsについて学生に知ってほしいことや伝えたいことを教えてください!
意識して見てみると、SDGsに配慮した化粧品は意外とあります。ただ、意識しないと気付かないと思います。僕らも手に取ってもらえるような商品を開発するので、化粧品を買う時の観点の1つとして、SDGsを考えてもらいたいです。(関根さん)
SDGsは、自分が暮らしている世界の問題です。特に気にせず過ごすことも可能ですが、自分ごととして捉えて、少しずつ取り組んでもらえたらと思っています。そして、世の中には色々な情報が出回っているので、何が正しいのか自分で見極めるようにしてほしいです。(中田さん)
ー SDGsに配慮した商品の見分け方(具体的なマークなど)や、おすすめの調べ方はありますか?
化粧品の多くは石油由来の素材を使っているので、自然由来の商品を見つけることが重要だと思います。基本的には、中身と包装の2点を見るとよいでしょう。例えば、箱にFSC認証の紙を使用しているかどうかや、化粧品の容器にバイオプラスチックを使用しているかなどです。
あとは、パッケージに表示していない会社もありますが、自然由来指数も確認すると良いと思います。製品原料の自然由来である割合を計算する方法で、100%になっていると、すべて自然由来の成分でできているということを表します。
編集後記
今回は2回にわたって、桃谷順天館さんの「商品開発」と「SDGs」について伺いました。
化学・美容を扱う化粧品メーカーとしてやるべきことから、社内の働き方改革まで、本当に多くのことについて取り組まれていることがわかりました。化粧品や健康は、私たちの生活に密接に関わっており、意識しやすい分野だと思います。
まずは、ドラックストアに行ったとき、自然由来の化粧品や、SDGsに配慮した商品を探すところから始めてみるのはいかがでしょうか!