【SDGsと私】トリポーラスで「ソニー」が作る未来

あなたはSDGsについてどのくらい知っていますか?

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
持続可能な社会を目指すために、国連サミットで採択されました。17の目標と169のターゲットで構成されています。
開発目標の期間は2016年から2030年までの15年間。まさに次世代を担う私たちにとっては、切っても切れない関係にあります。

今回はソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(SSS)から、”トリポーラス”の研究開発を支援している永井さえさんにお話を聞きました。さらに、SSSの安河内さん、ソニー知的財産サービス株式会社(SOIP)から田畑さん、山ノ井さん、坪井さんにも取材にご参加いただきました。

会社紹介

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(SSS)
 ソニーグループの半導体部門を担う企業。

ソニー知的財産サービス株式会社(SOIP)
 ソニーグループの知的財産権に関する業務を担う企業。

ソニーグループ株式会社のHPはこちら

サステナブルな新素材”トリポーラス”

トリポーラスとは、ソニーグループ株式会社が開発した「籾殻」を原料とする多孔質カーボン素材です。
独特の多孔質構造により、従来の活性炭に比べ、優れた吸着スピード高い薬剤担持量などの特性を持っています。この特性を生かして、水や空気の浄化フィルター、防臭・消臭効果を持つアパレル製品などに活用されています。余剰バイオマスである籾殻を再利用することで、持続可能な社会の実現にも貢献している新素材です。

トリポーラス(手前)と籾殻(後ろ)

ー トリポーラスの抗ウイルス・抗菌作用のメカニズムを教えて下さい。

 まず、トリポーラスには三種類の細孔があります。その中にウイルス本体であったり、表面のタンパク質が吸着することが確認されています。この吸着作用が抗菌・抗ウイルス性を示す理由だと考えています。(永井さん)

ー トリポーラス配合の衣類はしても効果が落ちないとのことですが、これはなぜでしょうか?

 配合方法は、上から塗ったり染色という形ではなく、繊維に練り込んでいるんです。この方法によりトリポーラスの脱落を防いでいます。(山ノ井さん)

ー 循環型社会という観点で、トリポーラスの廃棄方法について伺いたいのですが、アパレル製品に利用されたトリポーラスはリサイクル可能なのでしょうか?

 リサイクルについては今後の課題といった状況ですね。ポリエステルなどの化学繊維のリサイクルは始まっています。衣類のリサイクルについては、ソニー単独で出来るものではないので、業界の皆さんと協力しながら進めていきたいと思います。(山ノ井さん)

オープンイノベーションによる開発

ー トリポーラスの研究において、課題となった部分はなんでしょうか?

 このトリポーラスがすごい良い技術であるというのは皆わかっていたんですが、それがソニーの製品にすぐ使えたかというとそうではありませんでした。そこで、他社の良い技術と組み合わせて製品にしていこうという方針に切り替えて、オープンイノベーションで製品開発を進めていきました。この「自社製品だけではなく、他社と共に」というところが考え方として、ひとつの壁を乗り越えるきっかけになったと思います。(山ノ井さん)

ー 研究開発の前の段階で、すでに困難があったんですね。

以前、知的財産に関する授業で、技術に関する法廷闘争の話を扱ったことがあり、他社との技術の共有について難しいイメージがあります。トリポーラスはオープンイノベーションで製品化が進んだとのことですが、他社と共同開発する上でのメリットはなんでしょうか?

 他社とのお付き合いになるので、色々と知財の問題が出てきます。しかしそこは、両者Win-Winの落とし所を見つけて臨機応変に進めています。また、オープンイノベーションにすることで、ソニーだけでは実用化できないようなものも外部のパートナーさんと共に製品化することが出来ます。(田畑さん)

ー 従来のやり方で生み出せなかった技術が共同開発によって生み出されているんですね。

永井さんのソニーでの研究開発

研究に取り組む永井さん

ー 永井さんの研究内容について教えてください。

 トリポーラスは水や空気の浄化、ウイルスの吸着など様々な効果を持っていますが、これらの効果のメカニズムはまだ明らかになっていない部分もあります。そこで、トリポーラスのさらなる活用法を探索するために、この材料の機能性や性質をさらに詳しく知るための解析を進めています。(永井さん)

材料の性質をしっかり知ることで、活かせる分野も増えていくということですね。

 そうですね。まずは、現状のメカニズムや材料の性質を明らかにするために研究しています。(永井さん)

ー 仕事として研究開発をする中でのやりがいを教えてください。

 新しいことが分かり、誰かに説明できるような結果が見出だせた時がまずひとつ楽しいです。さらに、大学の研究と違って、相手がいるというのも大きいですね。研究結果を知って、誰かに喜んでもらえたり、感謝してもらえるというのが喜びです。(永井さん)

ー 成果が直接見えるということですね。

 はい。成果を社会に役立てるというのが一番の目的ですが、その社会の中で、人に喜んでもらえるような活動ができるというのが大きいと思います。(永井さん)

ー では逆に、研究している過程での苦労や困難などあれば教えて下さい。

 まず先程話したように、他の企業と共に私達にとって新しい業界で開発をするというのはひとつ大変なことだったのかなと思います。さらに、例えば技術が出来てもそれが市場で求められていなかったら製品化できないということがあります。(永井さん)

ー それは研究室での研究とは違ったところですね。市場に求められていない研究結果が出たとして、それは最終的には本当に無駄になってしまうんですか?

 実際にお金が出なくてビジネス化ができないというケースもあります。だだ、このトリポーラスに関しては、他のパートナーさんと一緒に開発できたことで、商品化に至ることが出来ました。(永井さん)

次回予告!

 今回はトリポーラスの研究開発について伺いました!大学生では知ることが出来ないような研究開発のリアルを聞くことが出来ました。
 トリポーラスについて更に詳しく知りたい方はソニーのトリポーラスHPをご覧ください。
 次回はSDGsに関して質問していきます。ソニーではSDGsに向けてどのような意識を持っているのでしょうか。次回記事もお楽しみに!