【セイショク株式会社vol.3】SDGsと私

前項では、実際に企業様がSDGsに取り組まれているケースを例として、企業単位でSDGsに取り組む際に必要な観点を学ぶことができました。
本項では、事業を担当されている先輩リケジョの岡本さんに具体的なお仕事内容や学生時代のお話をお伺いすることで、私たち理系学生がSDGsに貢献するには今学んでいることをどう活かして行けばよいのかを模索していきたいと思います。

岡本 佳奈子さん

先輩リケジョ岡本さんに聞く「SDGsと私」

今の仕事内容を教えてください。

―分量書きの作成、色見、染料の注文です。

分量書きとは、何色の染料を何g入れるかを書いた指示書のことで、過去のデータと照らし合わせながら作成します。
色見とは、分量書き通り調合した染液をテスト染めし、色相や濃度は良いか判断し、必要に応じて染液を調整する業務ことです。またテスト染めの生地と加工後の生地をチェックし、次回同じ色を染める時にデータとして使えるよう保管します。
染料の注文は、課内で使用する染料や薬品の発注を担当しており、70品目ほどあります。

なぜ理系を選んだのですか?

社会が苦手で、理科が好きだったからです。

学生の時の専攻(大学・学部・学科など)を教えてください。

岡山大学 環境理工学部 環境物質工学課を卒業し、同大学の大学院に進みました。

どのような学生生活でしたか?

―研究室配属されてからは、実験・考察・先生に報告の繰り返しでした。

研究室に配属されてからは、進捗状況をこまめに報告し、整理・発表することが求められる環境でした。この経験から、実験を計画し、データを読み取り考察する、研究の基礎能力を学びました。しかし、時間や温度の管理の詰めが甘く実験に失敗したり、実験計画が甘く比較用のデータが足りなかったり、失敗することも多かったので、研究職に進んで仕事として研究を続けることは苦手かもしれないと感じました。

そのときの研究テーマは何でしたか?

―イルメナイト砂(FeTiO3)から、ボールミルとキレート剤を用いて鉄を分離する方法の開発です。

一般的に、イルメナイトからルチルを得るためには、強酸を用いた多段階処理をして鉄を分離させる手法が使われています。鉛を含むガラスにボールミルとキレート剤を用いた処理をして、ガラスから鉛を分離した先行研究を参考に、イルメナイト砂から鉄を分離する低環境負荷な手法を開発することが研究テーマでした。

なぜ貴社を選んだのですか?

―企業説明会で染色業に興味をもち、工場見学で先輩社員の方々に魅かれたからです。

また、既存の染色方法を行うなかで改善点をみつけ、どうやったら対処できるか実験したり勉強したり経験を積んだりしながら、色の管理力をあげていくことをやってみたいと思ったからです。

大学(中高含めでも)で学んだことで今の仕事に活かせていることはありますか?

―「実験して、考察して、次のプランをたててまた実験する」ことです。

これが、今の仕事の、テスト染めの色を判断して、加工後にどう染まったかチェックして、うまくいかなかったところを考察し次の対応を考えることに似ていると思います。

これからの目標を教えてください。

―弊社の独自加工に携われるようになりたいです。

SDGsに関して、個人的に取り組んでいることはありますか?

―個人レベルですが、節水や節電をして無駄なエネルギーを消費しないよう心がけています。この心がけで、必要な人や機関がエネルギーを使えるといいなと思っています。

自分の会社がSDGsに取り組んでいることに対してどう思いますか?

―事業を続けていくうえで必要だと思います。

染色整理加工業は以前より水資源を汚す原因の一番の産業ですので、SDGsに取り組む中で使用する有害物質を管理したり、有害物質を使わない加工を発展させたりしていくことが必要だと思います。

仕事でSDGsに関わるようになって、学生時代からSDGsに対して考えが変わったことはありますか?

―仕事について、個人規模の活動から企業規模の活動に変わり、また関わる人や企業も増えたので、活動するときの影響力が大きくなったと感じます。

おわりに

3回にわたってセイショク株式会社の皆様にお話を伺いました。
みなさんは、この記事を読んでSDGsに対しての印象は変わったでしょうか?
環境問題だけに取り組めば持続可能な社会が実現する、というわけではないことが分かりました。

また、先輩リケジョ岡本さんのお話では、大学での研究や学んだことが今の仕事に活きていることが分かりました。私も今の大学での学びを大切に、進路選択をじっくり考えていきたいと思います。

SDGsに関しても進路選択に関しても、この記事がこれからの皆さんに役立つことができたら嬉しいです!