目次
- 現在の仕事内容と起業するまでの経緯
- 仕事に対する姿勢
- 学生時代を振り返って
- 学生に向けてのメッセージ
- 取材を終えて
- お知らせ
前回の記事では、仕事の内容と企業に至る経緯を伺いました!今回はさらにお仕事の内容を深掘りしていきます!
前回の記事の女性起業家①はこちら↓からどうぞ!
https://rikejyo-rin.com/?p=679
2. 仕事に対する姿勢について
・「こういうのがあったらいいな。」という起業の種となるアイデアがあったとしても、思うだけで実行に移さず終わることが多いと思います。そこを躊躇せずにできたのはどうしてでしょうか?
家族は皆個人事業主で、仕事の時間を柔軟に変えられるメリットを感じていました。母もスキマ時間で家事をこなしていました。なので、起業をすることはリスクでもありますが、(実際に行動に起こせたのは) 起業という敷居の高さの考え方が違ったからだと思います。
会社員になって一定の収入は得られるかもしれないけれど、女性ならではの育休などのライフイベントを両立しながら、プロジェクトに没頭できるポジションでいられるのかが当時はまだロールモデルが見えない状況でした。起業することによって大手と比べると小さい会社だからということで、大きな波が来たら吹き飛ばされてしまうこともあるかもしれませんが、いろいろ自分で考えてやれるというのは魅力的でしたね。
リスクを背負うという点では、会社員であってもリストラされたら技術も知識もつかないまま放り出される可能性があるので、むしろ大きいと思っていました。起業して最初は凄く大変でしたが、 それがかえって想定外のことに対応するスキルにつながっているので 、今はどこかでは生きていける何かが身についていると思っています。
・仕事の原動力・モチベーションは何かを教えてください。
現在は、農業が儲かるように(頑張った分ちゃんと稼げる環境に)変えたい、農業情報改革をしたいと考えが仕事の原動力になっています。
起業した当初は、ここまで明確ではなくて、私はいわゆるシングルマザー世帯で育ちましたが、行政や周りの方々の支えがあって私立の女子校に行けたり、ずいぶんと幸運に恵まれて育ちました。もらいっぱなしではなく、なにか自分と接点がある業界で、何か社会に返したい、という気持ちも強かったかと思います。
・仕事の魅力は何かを教えてください。
学生時代の専門性を活かしながら働けるところだと思います。従来の農業ITというのは、IT屋さんが作ると箱モノはできるけど、農家さんが本当に欲しい情報が載っていないところがネックだったと思っています。なので私は、まず農家さんの現場へ飛び込みで行って、どういうサービスや情報が欲しいのかを聞くという、本当の意味でのマーケティングから始めましたね。そこで、農家さんが求めている情報やサービスを聞き出しました。農家さんの本当に求めているものというのは、私の専門分野が活かせるところでもあるので、じゃあ実際にこういうのを作ろうよと提案することができ、農家さんとサービスの作りこみができるところが楽しいですね。
・仕事で経験した困難・苦労はなんですか?また、どのようにして乗り越えましたか?
サービスの特徴が伝わらずに製品が売れなかったり、営業してなんとなく「いいね」とは言われるのですが、受注に結び付かなかったことです。また、営業と経営を平行してこなすことが難しく、なかなか体力が思うように配分できず、予定していた業務をこなすことができない時もありましたね。
最初のうちは、自分に何か原因がないかと悩んだ時期や啓発本的なものを読み倒した時期もありましたが、実際に解決するには、ノウハウなどではなく、淡々と問題に向き合い、粛々と情報収集と目の前の業務をこなしていくしかないということに気づきました。それからは煮詰まったときは、まずは1日全部放り出して好きなことをして気持ちを切り替えることで乗り越えています。
・今まで身につけたスキルや考え方が現在の仕事に活かされていることはありますか?
例えば、勉強のとき、一教科分をノート通りに覚えないで、地理・生物・地学の教科書を同時に開いて、関連していることを一緒に覚えていました。そのように分野を横断的に学ぶ姿勢というのが、今、仕事をする上でも役に立っています。
農家さんが知りたいと思っているような、農業で求められている情報の裏には、生物も化学も物理の知識も複合的に関係しあっています。一つの分野だけを専門的に勉強するとイレギュラーが起こったときに対応できません。私もそこは意識してデータベースを作っています。データベースを横断的に作れているのは、そのような得意分野(分野を横断的に学んだことによってえたノウハウ)が活かせているからだと思っています。
・コロナの影響や技術の発達により社会の在り方や働き方が見直される動きが出てきました。そこで櫻井さんから見た、今後の農業の分野はどのように変化・発展し、私たちの社会や働き方に影響を及ぼすと思いますか?
コロナの影響は、ある意味日本の農業業界にとって良い刺激になっていると思います。同じIT/機械化の導入であっても、コロナ前は「全国一律品質・大量生産」を目指すやり方が主流でしたが、どうしても外国産に比べれば価格面では競争力に劣ってしまう矛盾も抱えていたと思います。また、日本特有の各地で天候・風土が全く違う特徴を生かした産地ごとのブランド形成という点も未成熟でした。
コロナ後はソーシャルディスタンスの都合上、大量栽培が難しくなりさらには「巣ごもり消費」の楽しさを知った消費者もスーパーのその先にある産地や農園になんとなく興味を持つようになりつつあります。これによって、IT・機械化導入の目的が、「大量栽培」から「地域ごとに品質を安定させること、地域のブランドを作ること」にシフトしつつあります。 これが、結果的に根くずれを起こさない強いブランド作りにつながると考えており、まさにINGENが作ろうとしているITサービスが力を発揮できるだろうと考えています。
女性起業家③に続きます!