リケジョの先輩からメッセージ〜輝いている女性起業家⑤

目次

  1. 現在の仕事内容について
  2. 仕事に対する姿勢について
  3. 学生時代を振り返って
  4. 将来の目標や医療業界について
  5. 学生に向けてメッセージ
  6. 取材を終えて

前回の記事では目次の1. 現在の仕事について、2. 仕事に対する姿勢についてお話を伺いました。
そこで、今回は学生時代から将来の医療業界、そして進路に悩む学生に向けてメッセージまで語って頂きました!
前編の女性起業家④はこちら↓からどうぞ。
https://rikejyo-rin.com/?p=646

3. 学生時代を振り返って

・学生生活を通し、自己の捉え方、将来の社会への関わり方などの考えに変化はありましたか?
 学生時代、私は結構一人で行動することが多く、あまり友人も多い方ではありませんでした。そこまで社交性が無かったことは後悔することも偶にあります(笑)。
 しかし、逆にその事は私に「別に誰かと一緒に居なくてもいいんだし、人と比べ変わっていてもいいんだ」という所(考え)に自分を持っていくことが出来ました。
 また、臨床心理学に関しては、自分自身の内面と対峙しつつも過去の事例を重んじ、その法則性を幾つかの仮説に基づき考察すると言う所でもあるので、論文もよく読みます。これは現在、仕事をするうえではかなり重要な要素です。その習慣が有ったからこそ、今があると言っても過言ではありません。

・学生生活を通して得たスキルと、自分の強みだと感じたところを教えてくだい。
 月並みですが私の強みは「高みを目指し諦めずに努力する事」だと思いました。あまり勉強好きではありませんでしたが、上手く出来ない自分が悔しくて自分の学業レベルよりも遥かに高い大学院の問題などを取り寄せ必死に解きました。結果、関西に2校くらいしか無かった臨床心理の専門職大学院に入学する事が出来ました。
 これは最初から諦めず、難しくても果敢にチャレンジすれば何とかなるかもしれないというスタンスにもつながり、「どうやったら難題をクリア出来るだろうか」という事を考え動くという事に繋がったと思います。

・学生生活を通して、意識して行っていたこと(心がけて行っていたこと)はありますか?
 学生時代意識して行っていた事は、自分の劣等感や自分の悪い点と向き合う事だと思います。自分のエゴや傲慢さ等、自分自身で受け入れられない認めたくない事は沢山あると思いますが、自分自身でそのダメな部分と直面しながら受け入れる努力はして来ました。逆に今その経験があるからこそ、自分自身の人間としての弱さを受け入れられているのかもしれません。

・学生時代,起業についてどのように考えていましたか?
 もともと私は経済学を学び起業するか、医療に進むかで悩み、結局折衷案で「臨床心理士」になりたいと思いました。「人の生きるための手助けがしたいし、外の環境に依存しない自分の力を蓄えて稼いでいく」という事がメインでした。もしかしたら今に通ずるかもしれません。
  臨床心理の道を諦めたのは自分がアクセスできる人の数が圧倒的に少なく、より多くの人の手助けをする手段として、ITヘルスケア関連の起業があったと今は思っています。

・どういったきっかけで「人の生きるための手助けがしたい、外の環境に依存しない自分の力を蓄えて稼いでいく」というように考えるようになりましたか?
 人に判断を委ねてしまうと、リーマンショックなど経済界での大きな動きがあった場合、1人で生きることができないと思いました。高校生の頃から、会社に“雇ってもらっている”状態では自分自身が困ると思っていました。そこから、自分ができると明言化できるものになろうと思い、臨床心理士を目指しました。

3. 将来の目標や医療業界について

・将来はどのように働きたいと考えていますか?
  人生としても会社としても人の力を借りながら成長していきたいです。従来のような日本特有の固い働き方ではなく、その人ごとに良いところがあって、良いところを個人ごとに伸ばしていくような働き方ができればいいなと思っています。実際に社員同士でも、できないことがあっても補っていこうとよく話し合っていますね。

・今後10年、20年後体温関係の分野はどのように成長して、日本や世界の社会を変えていくのだと思いますか?
  体温測定に関してはあまり研究が進んでいない分野だったのですが、私たちは、深部体温とおへその周辺温度との相関を確認しました。これからはいろんな分野と連携して、体温に関する基礎研究と、研究成果を活用した事業をおこなっていきたいと考えています。

4. 学生に向けてメッセージ

・田中さんは目標に向かって柔軟に業界などを変えていらっしゃいますが、進路に悩む高校生や大学生は、一度進路を決めてしまうとなかなか変えるのが難しいと思っていたりします。そんな読者(進路に悩む高校生や大学生)に向けて一番伝えたいことは何ですか?
 高校時代は理系科目より、英語・現文が得意でした。でも今は「理系ですよね。」と皆さんから言われています。進路はずっと続くものではないと思っています。自分がこれになりたいと思ったら努力と特性を変えることで、進路は変えられるものだと思います。これしかないと考えるより、これもできるかもしれない、これもやってみたい、という気持ちを大切にして、自分自身の可能性を狭めないことが大切です。社会人の方が長いですから、いつでもやり直せると余裕を持ってみてもいいのではないでしょうか。

・起業を目指す人にとって学生時代に何をするべきか,アドバイスをお願いします。
 起業内容が理系的なものか、文系的なものかによります。まずは、起業したい内容を分析して、理系的なものであれば、一度、研究してどういったところがネックになるか、また、知財の仕組みを知ったりした方が近道です。一方、コミュニティビジネスや一般消費者向けてのビジネスに関するものであれば、ベンチャー企業ではインターン生をよく募集しているので、実際にどのようにビジネスを回しているのかを体感してみると良いと思います。

普段のお仕事の様子

5. 取材を終えて

今回は、学部時代の専門内容にとらわれず、新しい分野で起業されている方に取材を行いました。
 学生時代に学ばれた臨床心理学が “自己との探求”に活かされ、生涯にわたって自分が成し遂げたいことを見つけられたお話が印象的でした。そして臨床心理学は自己だけではなく、チームのメンバーと良好な関係を築くうえでも活かされていると感じました。学生時代のうちから自分がどうしたいかということを考えることが大切なのですね!
 また、櫻井さんと同じく、外部に依存せず危機感を持つことが起業において共通する考え方なんですね!
 今回のお二方の取材記事は、高校生だけではなく大学生にも参考となったのではないでしょうか?ここまで読んで下さったみなさんの起業に対する考えが少しでも変わって、学生時代から自身の強みを見つけることの大切さや、自己実現の一つに起業があることを考えるきっかけとなっていれば嬉しく思います!