こんにちは!理系女子大生コミュニティ凛です。コロナ禍の中、気の抜けない日々が続きますね。
例年通り凛では企業取材をすることにしたのですが、今年しかできないテーマとして「コロナと研究職」について取り上げることにしました。
読者の方の中には、大学が閉鎖になって研究が進められなかった方もいるのではないでしょうか?学生でさえ困っているのに、企業で働く研究職の方はどうしているのでしょうか?
生き物のお世話や実験器具の管理はどうしているのだろう、在宅でできる研究はあるのか…?
ということで、エステー株式会社さまにお話を伺ってみました。
(取材日:8月6日)
普段の研究について
──初めまして、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
──森本さんは、普段どのような研究をされているのですか。
弊社の様々な製品カテゴリのうち、消臭力などのエアケア製品を担当しています。既存製品の処方の検討や、新製品の処方の開発などを行っております。
──普段の研究で使っている器具はありますか。
処方の検討はビーカーワークといって、大学で使っているようなビーカーを使って実験することが多く、あまり難しい機械は使っていないんです。分析が必要な時には、分析室でガスクロマトグラフィーなどを使うこともあります。
普段の研究では、いろんな原料や香料などを組み合わせて、どういう処方がいいのかを調べています。
除菌効果や抗菌効果について確認をするときは、微生物試験室という部屋で大腸菌などの菌を扱った研究をすることもありますね。
コロナ禍でも業務に変化はなかった
──感染拡大の防止に取り組みながらの業務になるかと思いますが、現在は何割ぐらいの業務ができていると感じますか。
緊急事態宣言の際は原則在宅勤務をするよう会社から指示が出ました。しかし、実験などでどうしても必要な場合は、部門内でシフトを組んで出社していました。
宣言解除後は1週間から2週間の予定を立てて、実験をする日に出社しています。在宅勤務の頻度は週1~2日程度です。
毎日在宅勤務をしていた時はやや不自由を感じたこともありましたが、現在は在宅での仕事も計画的に進められるようになり、業務が滞るということはほとんどないですね。
──生き物のお世話や実験器具の管理はどうしていますか。
測定機器などに関しては週末には電源を切るなどの決まりが元々あるので、感染が拡大してからは、出社してる人の中で責任者を決めてその人が確認してから帰るようにしています。
私は担当していないのですが、防虫剤などを担当している研究員は虫を飼育しています。虫はお世話をしないと死んでしまうので、研究員がシフトを組んで管理をしています。
──コロナが流行って変わった業務内容はありますか。
変わったことは特にはないですね。
最初は、研究職は実験などが多いので、在宅でできるのかな?って思っていたのですが、やってみると、スケジュール管理していれば意外と出勤と在宅のバランスを取りながら仕事ができるというのが率直な感想です。
研究職の実験以外の仕事とは
──在宅での仕事を具体的に教えてください。
在宅での業務は大きく分けて3つです。
一つ目は、出社した時に行なった試験データなどを家で解析してそのデータをまとめることです。
二つ目は、各部署の方とのオンラインミーティングです。
研究グループは基礎研究をしているチームと、商品を担当しているチームで分かれているのですが、私のように商品を担当しているチームは、開発グループや、事業部のような色々な部署の人と相談しながら仕事を進めていきます。
そのため、研究職でも打ち合わせをすることが多いんです。
三つ目は、毎週チーム内で行うミーティングで進捗報告をしているので、その資料の作成です。
普段会社でやっているデスクワークを家でやっているイメージです。
──普段は実験とデスクワークをどれくらいの比率で行っていらっしゃるのですか。
そうですね。時期にもよるのですが、処方検討などが忙しい時期には実験室にいることが多いです。処方を組んでいるときは7:3くらいで実験室にいますが、普段は実験と同じくらいの割合でデスクワークを行うこともあります。
在宅ワークのメリット
──業務内容はほぼ変わらないということでしたが、業務時間には何か変化はありましたか?
在宅勤務では基本的に残業をしないので、メリハリができましたね。
──在宅だからこそできる仕事や良かった点などありますか?
資料作成ですね笑
会社にいると電話がかかってきたり、急に仕事を頼まれたりすることもあるのですが、家にいるとそういうことはあまりないので、資料作成は会社でやるよりも家でやるほうが捗るなと思いました。また、通勤の時間が減ったことでプライベートの時間も充実するようになりました。
商品を作る上で大切な「連携」
──他部署の方と打ち合わせをするとのことでしたが、どのようなことを話し合うのですか。
マーケティングを担当する事業部や開発グループと一緒にミーティングする時は、新製品のコンセプトや既存品のリニューアルについて話し合います。
製造部門、購買部門とのミーティングでは、処方に合った工場での生産方法や、処方に使用する原料について話し合います。
──コロナ禍において、チーム内での連携はどのように行なっていますか。
ミーティングを週一で行ったり、実験室で先輩と話したりするので、チーム内の交流は普段から多かったのですが、現在は会う機会が減ってしまったので、チャットツールを利用して気軽に意見交換するようにしています。
緊急事態宣言後に在宅勤務が続いた際には、それとは別に、チームのリーダーがメンバーの息抜きのために、「朝会」と「夕会」を作ってくれました。毎日朝か夕方にその日にあったことを簡単に話していました。
──コロナが落ち着いた後でも続けていきたい取り組みはありますか。
そうですね。長期でのスケジュール管理はこれからも実施したいなと思っています。
今までも意識してはいましたが、家でできることと実験室でしかできないことがあるので、実験計画を細かく立てるようになりました。
スケジュールが2週間先まで決まっていると、自分の中で業務の効率化ができるようになった点はよかったです。
次回に続く
研究職の方は実験以外にも他部署の方とのやり取りやデータのまとめなどの業務も行なっていることがわかりました。たくさんの人が協力して作っている製品は、チーム内や他部署の方との連携が欠かせませんが、このような状況でも様々な工夫をして仕事を進めていらっしゃるのですね。
後編では進路選択のお話や、研究職の魅力について引き続き森本さんに伺いました!ぜひご覧ください。
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